世界のリーディングホテル

New York Ⅰ

ニューヨークⅠ – はじめに

 第16回特集はニューヨークをご紹介します。滞在したホテルが多い為に特集を3回に分けてニューヨークⅠ・Ⅱ・Ⅲとし、12のホテルを詳細にご案内する予定です。今回は5thアベニューを挟んで覇を競うミッドタウン中心部のリーディングホテル、「ザ・プラザ」、「セントレジスNY」そして「ペニンシュラNY」を特集しました。

*The Plaza
 1988年バブル絶頂期に日本の青木建設(2001年民事再生)が傘下にプラザを持つウェスティン・グループを買収したが、僅か10日後にドナルド・トランプ氏に転売してしまう。97年に今度はサウジの王子アルワリード氏とシンガポールのCDLに売却する。アルワリード氏がフェアモントホテルズのオーナーであった事から、運営はフェアモントグループに委ねられた。そして2005年にプラザは劇的変化を迎える。再びオーナー権は移行し、実に時価の2倍の値段で買い取られたがそれでも充分利益が出るものだった。その真意はホテルを分譲マンションとして売却すれば、さらに巨額の利益が出る「打ち出の小槌」にあった。しかしこの計画はNY市民の猛反対にあい頓挫してしまう。結局、建物の約3分の1をホテルとして残すことで和解し、3年間の大改修を経て08年にフェアモント・マネージドホテルとして再オープンしている。
 開業は1907年10月、アメリカがヨーロッパに負けない「世界で一番豪華なホテル」を合言葉に、フランス・ルネッサンスのシャトーを模して完成させた。建築家にはワシントンDCのウィラードやジョンレノンで有名なダコタ・アパートを手掛けた、ヘンリー・J・ハーデンバーグを起用し、ボサール様式で装飾された19階建て総客室数800を超えるホテルであった。ニューヨーク市の歴史的建造物にも指定されている美しいランドマークホテルで、85年に世界を揺るがした有名なG5の声明、「プラザ合意」の舞台でもある。
 現在のプラザは102室のスイートを含む全282室のホテルとなり、セントラルパーク側はすべて超高級コンドミニアムとなっている。大きな注目と希望を持って迎えた再出発だけに、従業員のモチベーションも上がり動きも機敏になったように感じる。

*The St. Regis New York
 20世紀初頭、世界屈指の大富豪といわれたアスター家の当主、ジョン・ジェイコブ・アスター四世が贅を極めた新しいタイプのホテル、セントレジスを1904年に開業させ、上流社会の人々のための洗練されたホテルのスタンダードを世界に示した。竣工した華麗なボサール建築のホテルはセントレジス流のバトラーサービスも加わり、「ニューヨークタイムズ」紙に“アメリカ最高のホテル”と太鼓判を押されたほどだった。当時、ニューヨーク最高層のホテルとして話題になったが、冷暖房施設や郵便配達用シュートなど画期的な先端技術を導入したホテルでもあった。実はJ・J・アスター四世は12年の有名なタイタニック号の海難事故に遭遇して他界している。
 セントレジスにはホテルを代表する有名なカクテルとバーがある。トマトジュースとウォッカという意外な組み合わせのカクテル「ブラディーメアリー」はこのバーで誕生した。ここでは「レッドスナッパー」の名で愛され、瞬く間にアメリカのカクテル界の定番となった。また、バーの名前はキングコールバー「The King Cole」と呼ばれ、カウンター前に描かれた大壁画「Old King Cole」に由来し、伝説的アーティストのマックスフィールド・パリッシュの作である。
 セントレジスは全世界で24ホテル、4501室(2011年7月現在)の規模までに成長してきた。非業の最期を遂げたJ・J・アスター四世はこの発展を見て何を感じているだろうか。

*The Peninsula New York
 前身は1905年に開業した「The Gotham Hotel」である。目の前にある“5番街長老教会”「The 5th Avenue Presbyterian Church」に隣接していた為にリカーライセンス(酒類取扱い許可証)が取れず、アルコールの無いホテルのバーやレストランは商売にならなかった。さらに、04年のセントレジス、07年のプラザと開業が相次ぎ、ゴッサムホテルは影が薄くなり、ついには08年に倒産してしまう。
 その後ホテルは、メトロポリタン生命やスイスのホテルオーナーなどに引き継がれたが、
87年12月に「Hotel Maxim’s de Paris」として再オープンした。81年にマキシム・ド・パリの経営権を獲得していたピエールカルダン氏とライセンス契約をしたもので、アールヌーボーの家具や絵画、調度品など徹底的にマキシム流のフレンチデザインに変更された。そして翌88年10月にホテルは香港上海ホテルズ社に買収され、ついに「The Peninsula New York」の誕生に導かれる。思えばゴッサムホテルの開業から83年の年月が経過していた。また、香港上海ホテルズ社にとってアジア以外、西洋初進出の記念すべきホテルとなった。
 ペニンシュラNYの特徴の一つに、屋上に新設した最高の眺望を誇る三層階のスパがある。
ペニンシュラスパ、ジム・フィットネスとサンテラス、そして最上階のスイミングプールと三層の広大なスペースを有している。ニューヨークの最高級と言われるホテルは歴史的な建物が多く、プール自体を持つホテルは少ない。ニューヨークのセレブリティーの間では人気が高く、ペニンシュラスパの会員希望者は多いと聞く。

*「世界のリーディングホテル」は現在「週刊ホテルレストラン」で隔週刊第2・4週号にて連載中。
http://www.hoteresweb.com/columntop

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