
Edition 27/ London, UKⅡ
London, UKⅡ
ロンドン、英国Ⅱ – はじめに
第27回特集はロンドン、英国Ⅱとして、前回に引き続きロンドンのホテルをフォーカスしてご案内します。今回は「マンダリン・オリエンタル・ハイドパーク」、「ザ・バークレー」、「ザ・レーンズボロ」そして「ザ・ブラウンズ」の4軒の名門ホテルをご紹介します。いずれもロンドンを代表する老舗ホテルであり、脈々と続く長い歴史を誇るホテルで幅広い評価と存在感を誇る。
アフタヌーンティーでは絶大な人気を誇る上記4軒のホテルではあるが、有名ホテルの割には客室など「宿泊全般」に関する情報量は、残念ながら日本ではまだ少ない状況にある。したがって、この特集でホテルの歴史を始め、多方面に亘っての情報を発信できれば幸いです。
*Mandarin Oriental Hyde Park, London
ロンドンの憩いの場ハイドパークに面して建つ、赤レンガの壮麗な建物が際立つ名門ホテルである。ホテルの歴史は古く19世紀に遡り、1889年に設立された英国紳士の独身用高級アパルトマン「紳士クラブ」にルーツを求められる。1899年に大きな火災を起こしダメージを残したが大改修を施して、1908年には「ハイドパーク・ホテル」という名称のホテルとして再生した。1996年にマンダリン・オリエンタルホテル・グループに買収され、「Mandarin Oriental Hyde Park, London」(以下MO/HP)と改称している。続いて約6千万ポンドをかけて大リノベーションを施し、2000年5月に装い新たに再デビューを果たした。
MO/HPは赤レンガが印象的な重厚なヴィクトリアン様式の建物で、高級アパルトマンとして開業した頃の正面玄関はハイドパーク側に置かれていた。しかし、1908年に「ハイドパーク・ホテル」として再開した際、ハイドパークは王立公園であった為、公園内にいかなる広告物の設置は許されなかった。ホテル名を掲げる玄関が必要であることから、正面エントランスはこの時から反対側のナイツブリッジ側に移された。一方、元の公園側玄関は「ロイヤル・エントランス」として、以来、王室が許可しない限り使用できなくなっている。現在もホテルはこの伝統を守り、使用する際は英国政府の所轄部署へ許可を求めている。この様に英国王室との繋がりも深く、2005年にはサッチャー元英首相の80歳誕生パーティーがエリザベス女王臨席の下、ここのボールルームで催された。
*The Berkeley
ロンドン、ナイツブリッジの閑静な住宅街ウィルトンプレイスに、ザ・バークレーの瀟洒な建物は周囲の木立に溶け込み佇んでいる。築100年以上の建物が当たり前のロンドンでバークレーの建物は比較的新しく1972年にこの地にオープした。勿論ホテル自体の歴史は19世紀まで遡り、当初はピカデリー近くのバークレー通りにイギリスを代表する建築家、エドウィン・ラッチェンスの設計で開業している。
気品あるホテルとして開業以来高い評価を受け、社交界デビューする年頃の良家の子女が、エスコート無しに訪れることができる数少ないレストランだったといわれる。その卓越したホスピタリティーは徐々にロンドン上流階級に広まり、その評判はサヴォイを立ち上げたリチャード・ドイリー・カートにも届くことになる。野心に燃えるカートは激しい買収工作を繰り広げ、1901年にサヴォイグループの傘下に収めた。現在、バークレーはクラリッジズ、コノートと共に “メイボーン・ホテルグループ” 「Maybourne Hotel Group」の一員となっている。
*The Lanesborough, St, Regis Hotel
ナイツブリッジ近く、ハイドパークコーナーに威風堂々と構える「The Lanesborough」は、1719年にレーンズボロ2世子爵が建てた邸宅にルーツを求められる。子爵が亡くなるとセント・ジョーンズ病院が土地を賃借し、新しく病院として改築された。その時の建築担当がナショナルギャラリーの設計者で知られる、当時イギリスを代表する建築家ウィリアム・ウィルキンソンであり、まさに英国の粋を集めた建物であった。その後長きに亘って病院として使用されていたが、大改修後の1991年にホテルとして開業した。当初はローズウッド・ホテルズ&リゾーツの運営であったが、2002年5月よりセントレジスの傘下に入りスターウッド・グループの一員となっている。全93室のゲストルームのうち約半分の43室がスイートルームという、ロンドンの最高級ホテルの1つだ。
以前、筆者が訪問した当時のメインダイニングは「Conservatory」と呼ばれ、“温室” という名前の通りガラス屋根から陽光が注ぎ、すべて東洋趣味の調度品でコーディネートされたユニークな空間であった。ここで楽しむアフタヌーンティーは非常に人気があり、筆者としても一押しのスポットであったが、現在はモダンなイタリアン・レストランの「Apsleys」として営業している。
*Brown’s Hotel London
高級ブランドショップが立ち並ぶボンドストリートから、通りひとつ奥に入ったメイフェア地区にあるロンドンでも屈指の歴史を誇る名門ホテルである。創業は1837年まで遡り、ルーズベルト大統領やナポレオン3世など各国要人が宿泊している。グラハム・ベルが当時最新技術である電話の開通試験を成功させ、ヘンリー・フォードが自家発電の電気照明やエレベーターなど初めて導入したのもこのホテルであった。作家との関係では、アガサ・クリスティーがブラウンズ・ホテルを舞台にした「バートラム・ホテルにて」を書き上げている。
1990年代後半に、一度ラッフルズ・ホテルグループの傘下に入ったが、2003年に再びチャールズ・フォルテの息子、ロッコ・フォルテ卿率いる「Rocco Forte Hotels」に復帰した。その後、大規模な全面改装を施し、2005年12月に再オープンを果たしている。改装後の客室は老舗ホテルでは珍しいデザイナーズ系ホテルと見間違えるほど、思い切ったスタイリッシュなデザインに変更された。また、ブラウンズ・ホテルは現在リーディング・ホテルズ「LHW」のメンバーでもある。
*「世界のリーディングホテル」は現在「週刊ホテルレストラン」で隔週刊第2・4週号にて連載中。
http://www.hoteresweb.com/columntop
- 2012-10-10 (Wed)
- Edition 27/ London, UKⅡ
Mandarin Oriental Hyde Park, London
マンダリン・オリエンタル・ハイドパーク、ロンドン
「Mandarin Oriental Hyde Park, London」の正面ファサード。
赤レンガが印象的な重厚なヴィクトリアン様式の建物で、
100年以上の歴史を刻む華やかさと風格を兼ね備えている。
目の前の大通り、Brompton Roadから望むマンダリン・オリエンタル。
高級ブティックが軒を連ねるナイツブリッジで思わず目を奪われる圧倒的外観を持つ。
地下鉄ナイツブリッジ駅の真正面に立地して交通の便は最高である。
ロンドンを代表する高級デパート、ハロッズ「Harrods」も至近距離だ。
マンダリン・オリエンタルの大きな「扇」プレートを階段脇に掲げた正面エントランス。
ドアマンの真紅のコートが凛々しい。
重厚な大理石のロビーに向かう正面階段。
正面階段上のマントルピースと深緑の絨毯が映える。
エントランス横側から望む正面階段。
階段上のエントランスホールから見た年代物の正面玄関とベルデスク。
正面階段を上り、ホールの左右にあるコンシェルジュデスク。
正面階段を上がると重厚なマントルピースを据えたエントランスホールが広がる。
レセプションカウンターはエレガントな小部屋に用意されている。
豪華な客室階のエレベーターホール。
各階ごとに意匠なりデザインが微妙に替えられている。
今回アサインされた、グロブナー・スイート「The Grosvenor Suite」の玄関口。
静かなインナー・コートヤードに位置する「The Grosvenor Suite」のリビングルーム。
右手にアンティークの飾り棚と後方には重厚なライティングデスクが見える。
ウェルカムアメニティーがセットされたリビングテーブル。
余裕の広さを誇るリビングルームから奥にあるベッドルーム方向の俯瞰。
リビングとベッドルームとの間にあるバスルーム。
充分な広さを確保した使い勝手の良いパウダーコーナー。
落ち着いた雰囲気のベッドルーム。
スイートルーム全体で約65㎡の広さがある。
インナー・コート窓側から小デスクが見え左手に玄関がある。
ベッドルームから玄関ホワイエを経てリビングルーム方向の俯瞰。
マンダリン・バー「Mandarin Bar」のレセプションデスク。
マンダリン・バーの店内。ナイツブリッジを代表する人気のバーだ。
マンダリン・バーの右手奥からメインダイニング「Dinner by Heston Blumenthal」
に連絡している。
レストランはオープン・キッチンスタイルで、特別にキッチン内部を見せてもらった。
普段は目にする事は出来ないキッチン内部の貴重な写真である。
3ツ星レストラン「The Fat Duck」の伝説的オーナーシェフ、Heston Blumenthal
が手掛ける英国伝統のレシピに現代的なテイストを加えて再現したメニューが好評だ。
店内はこの様にハイドパークを望めるコーナーもある。
レストラン一押しの人気メニュー、“Meat Fruit”
Mandarin, Chicken Liver Parfait & Grilled Bread/
ニューヨークで絶大な人気を誇る「Daniel」の3ツ星シェフ、
Daniel Bouludのビストロ風バー「Bar Boulud」のエントランス。
マントルピースのあるエントランスホールを結ぶ通路。
グランドフロアに位置する重厚な全面大理石張りのエレベーターホール。
各階客室に連絡する階段から望むエレベーターホール。
この様に優雅な階段なので、思わずエレベーターより階段を利用したくなる。
その階段を上って行った最上階のハイドパークを望む見晴らし台。
定番のロゴマークがある「The Spa at Mandarin Oriental London」のエントランス。
回廊を進んで行くとスパ入口手前にある印象的なオブジェ。
スパレセプション前に設置している、和の雰囲気を主張した “タタミ・コーナー”。
ロイヤル・エントランスのあるハイドパーク側の美しいホテル外観。
ハイドパークの木陰から望むホテル外観。
木の葉の落ちた冬のハイドパーク。
2005年訪問時に同じ場所から俯瞰したホテル外観。
2005年訪問時の正面エントランス。
- 2012-10-10 (Wed)
- Mandarin Oriental Hyde Park, London
The Berkeley
ザ・バークレー
ロンドン、ナイツブリッジの閑静な住宅街ウィルトンプレイスに
「The Berkeley」の瀟洒な建物は周囲の木立に溶け込み佇んでいる。
ザ・バークレーの正面ファサード。築100年以上の建物が当たり前のロンドンで、
バークレーの建物は比較的新しく1972年にピカデリー近くから移転して来た。
バークレーの正面エントランス。
正装したドアマンがゲストをエスコートしてくれる。
常時エントランスに立つドアマン。
右手の壁面にさり気なく「The Berkeley」の表示が見える。
エントランスホール正面に飾られている斬新な生花のアレンジメント。
レセプションカウンターとコンシェルジュデスク。
いかにも英国の伝統を感じさせる重厚な雰囲気のレセプションホールである。
重厚感が漂うものの、何故かアットホームな空気が流れるレセプションホール。
エントランスホールの裏方にあるエレベーターホール。
エントランスと同じ生花のアレンジメントが置かれている。
ラウンジ「The Caramel Room」のエントランス。
ザ・キャラメルルームの店内。
“Pret-a-Portea” の名称で親しまれているアフタヌーンティーが人気の的だ。
店内をブルーに彩色した「The Blue Bar」。
マドンナやレオナルド・ディカプリオなどの著名なスターが通うバーとして有名だ。
カーペットの紋様が印象的な客室廊下。
客室玄関ホワイエからベッドルームを望む。
スタイリッシュでコンテンポラリー感覚の客室「Balcony King Room」。
ホテル上層階に位置し、約36-40㎡の広さがある。
機能的なレイアウトのシッティングエリア。
この部屋の特徴は付属するバルコニーに出られる事だ。
ベッドルームのドアを開けると、
この様なガーデンチェアセットを備えたバルコニーが迎えてくれる。
広めのテラスからは遠くロンドン中心部まで見渡せる。
やや狭い印象のバスルームだが豪華で使い勝手は良好である。
ホテル最上階に位置する「The Berkeley Health Club & Spa」のレセプションデスク。
スパ施設内のゴージャスなトリートメントルーム。
屋上のスイミングプールへはスパレセプションから可愛い階段を上って行く。
草花の緑が美しいルーフトップ・コートヤード。
ゴージャスなルーフトップのスイミングプール。
ハイドパークも見渡せる眺望を誇り、気候や天候によって屋根が開閉できる。
スイミングプールと接続してトレーニング・ジムが設置してある。
2005年訪問時のバークレー正面ファサード。
- 2012-10-10 (Wed)
- The Berkeley
The Lanesborough, St. Regis Hotel
ザ・レーンズボロ、セントレジス
ナイツブリッジ近く、ハイドパークコーナーに威風堂々と建つ「The Lanesborough」。
1719年にレーンズボロ2世子爵が建てた邸宅にルーツを求められる。
子爵が亡くなるとセント・ジョーンズ病院が土地を賃借し、新しく病院として改築された。
その時の建築担当はナショナルギャラリーの設計で知られ、イギリスを代表する建築家
のウィリアム・ウィルキンソンであり、まさに英国の粋を集めた建物であった。
如何にも英国らしい装いのドアマンとホテルスタッフ。
その後、長きに亘って病院として使用されていたが、大改修後の1991年にホテルとして開業し、2002年よりセントレジスの傘下に入ってロンドンの最高級ホテルとして注目される。
最新型ロールス・ファントムが停車している正面エントランス。
ホテルらしからぬ正面玄関で、知る人ぞ知るホテルといった趣だ。
2005年訪問時、玄関ホワイエから俯瞰したエントランスホール。
コンシェルジュデスクから逆方向、正面玄関方向の俯瞰。
落ち着いた雰囲気のレセプションデスク。
優雅な時間が流れるカクテルラウンジ「The Withdrawing Room」。
中央に暖炉を配しゆったりとしたソファで快適でリラックスできる。
「The Withdrawing Room」前の美しい回廊。
ゴージャスな客室階のエレベーターホール。
クラシカルな客室廊下。
客室玄関ホワイエ。
重厚感溢れるコーナー客室の「Executive Room」。
約45㎡の広さがあり非常に効率よいレイアウトである。
クラシカルなライティングデスク。
全93のゲストルームのうち約半分の43室がスイートルームである。
書籍棚を備えた居心地の良いシッティングエリア。
左側にさりげなく置いてあるライティング・ビュローが秀逸だ。
狭いながらもデザイン性豊かなバスルーム。
「Great Hall」の中心部分に飾られた生花のアレンジメント。
ここを中心に右手はメインダイニングに通じ、左手はギャラリーの階段に通じている。
階段側ギャラリーから望むメインダイニング方向の俯瞰。
イタリア・ローマのスターシェフ、
Heinz Beck率いるイタリアン・ダイニングの「Apsleys」の店内。
レストランを取り巻く回廊部分からの俯瞰。
2005年訪問時、同じ場所に展開していたメインダイニング
「Conservatory」のエントランスホール。
コンサヴァトリー「温室」と名付けた様にガラス屋根から陽光が注ぎ、
すべて東洋趣味の調度品でコーディネートされたユニークな空間であった。
笹や棕櫚竹が生い茂る回廊部分からの俯瞰。
ここで楽しむアフタヌーンティーは非常に人気があり、筆者としても一押しのスポットであった。
地階から見上げる美しい階段。
逆にギャラリーから階段下を望む。
ギャラリーからメインダイニング方向の俯瞰。
2005年訪問時のホテル正面ファサード。
Grosvenor Placeから回り込んだホテル裏側の車寄せと裏側エントランス。
ザ・レーンズボロのすぐ脇にあるウェリントン・アーチ「Wellington Arch」。
ハイドパークコーナーにあり、バッキンガム宮殿の裏手に当たる。
- 2012-10-10 (Wed)
- The Lanesborough, St. Regis Hotel
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